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現代人の価値観をパラダイムシフトする「半農半X」な生き方

2011年8月31日

僕は昔、都会にあこがれて東京に出て、8年近く住んでいました。
大学4年間過ごし、会社員として働き、都会でしかできない仕事や遊びをたくさんやって、
それなりに満喫していましたが、今は田舎に引越し、
webの仕事をやりながら夫婦で畑をやっています。

25平方メートルの畑を借りて毎日野菜を育てていて、
自分達で食べる分は結構収穫できます。

スーパーで売っているものと比べると色や形は良くないかもしれませんが、
農薬や化成肥料を使っていないですし、なによりスーパーで買うものより美味しいです♪

無農薬野菜を購入するのも美味しいのですが、
採れたばかりの美味しさは、野菜を育てている人にしかわかりません。
採れたてをそのままかじるなんて、野菜がみずみずしくないとできませんからね^^
「地産地消」、「自産自消」というのが大切だと感じさせられます。

時には猿や鹿に出会うこともあったりして、自然の中で生きているんだということも学びます^^;
野生の鹿は、人間を見るとすぐ逃げます。

自然の中にいると、何もないようでいろいろな発見や経験することがあるんですよね。
そのせいか、畑をやり出してから都会にいる頃よりも心が豊かになった気がします。
昔、「自分は都会の方が向いている」と思っていたのが不思議なくらいです^^
将来的にはもう少し大きい、納屋付きの自分の畑を持ちたいと思っています^^

こんな風に畑をやるようになって、人はやっぱり自然に触れながら生活した方が良いのではないか?
と思うようになったのですが、そんな生活をさらにつきつめたことが書かれているのがこの本。

半農半Xという生き方です。

「半農半X」というのは、
「自分が食べる分の小さな農、小さな暮らしをしながら、個性を活かした仕事をしよう」
という考え方です。

「X」は、自分の好きな仕事、やりたい仕事に置き換えます。
僕の場合はweb関係の仕事をしていますので、半農半webですね^^

この本は、2003年に初版が出ているので新しい本ではありません。
著者の塩見直紀さんは、1995年ごろからそういう発想があったそうで、
2003年にはもう本にまとめてたのかと思うと驚きです^^

『半農半Xな生き方をする』ということは、
限界がきた大量消費社会に変わる次世代の生き方ではないか?と思っています。

便利・快適さを求めることの限界


Shinjuku S3pro 02 / midorisyu

戦後日本は、便利さ・快適さを求めて、
経済を急成長させてきました。
いろいろな商品・サービスが開発され、
生活スタイルが様変わりしました。

昔は一苦労してやっていたものが、
今はスイッチ一つでできたり、
お金を払えば代行してくれるサービスもあります。

このように便利な物やサービスに囲まれるようになりましたが、便利な物が増えるたびに比例して幸せになったのか?というと、必ずしもそうではありませんよね。

私が言うまでもなく、私たちは「便利・快適を追及して、人間は幸福になったか」という問題を意識せざるをえなくなった。
もちろん、便利さの追求は人間の幸福にとって計り知れない寄与があった。
しかし、その一方で、さまざまな難問題を山積した。

資源の濫費、環境問題、食の不安、人間性の喪失、便利を効率に言い換えればリストラもそうである。
世界的に見れば、貧富の差、教育、これらもある意味では便利・効率など私欲が生んだ問題だろう。

便利な生活で恩恵を受ける一方、社会の中で何らかの歪みが出てきていますし、
家庭内でも問題が出てきています。

例えば身近な例だと、
テレビが一家に一台の頃は家族のコミュニケーションがあったのですが、今は各部屋に一台は当たり前。
チャンネル争いもなくなりましたが、それに伴って家族の一家団欒の機会は減りました。

携帯電話が出てきて、どこにいても家族や友人と連絡をとれるようになりましたが、
どこにいても呼び出されるようになり、プライベートな時間を確保するのが難しくなりました。

インターネットが普及して、知りたい情報を瞬時に手に入れられるようになりましたが、
その分、仕事によりいっそうスピードが求められるようになり、忙しくなりました。

世の中が便利になって受けた恩恵は大きいですが、
このように、マイナス面もあります。

共通するのは、心の余裕がなくなったことではないでしょうか?

世界一幸せの国と言われているブータンのことを知ればわかるのですが、
便利なことが必ずしも幸せには繋がらないんです。

参考:幸せの国、ブータンが大切にしていること

精神的な満足がなければ、幸せは得られません。
"幸せを得る"ということは、便利なものを買うことではないんです。

足し算の暮らしから引き算の暮らしへ


商い資料館 / adelie33_Asako

今の日本人は、足し算の暮らしをしています。
欲しいものはすぐに買い揃えるので、
家の中は物で溢れています。

買い物は選んでしていると思っていても、
実は買わなくても良いムダな物も多いんですね。

しかし最近「断捨離(だんしゃり)というものが流行りました。

"断捨離"というのは、家にあるムダな物を洗いだしてそれを捨て、物を買う時は必要最低限のものしか買わないようにするというものです。

不要なものを断ち、物への執着を解放するために行います。

ムダな物が減ると、よりクリエイティブなアイディアが浮かぶようになりますし、
仕事の効率がよくなります。
自分自身を見つめる機会が増えたり、人と人とのつながりに目を向けられるようになります。
断捨離の醍醐味はまさにここにあります。

ムダな物が多いと、人は非効率なことやムダなことに時間を使っていることが多いんですね^^;
そして、人と人とのつながりを疎かにしてしまうわけです。

知人の娘達の間では、小さいころからテレビ番組の争いがよくあったそうだ。

今でもそれが続いているそうだが、譲り合いや、主張すべきところは主張するといった協調と競争を自然と身につけてきたのではないかと、その知人が話してくれた。
ときには、父親にチャンネル権があるのを知り、父の威厳に目を見張るといったこともあったという。

日本に茶の間がなくなってから、父親の威厳、家族の崩壊が始まったと言う人がいるが、おおいにうなずける。
引き算の暮らしは、今、日本から失われつつある家族という共同体の原点を取り戻してくれるのである。

物がなかった頃の暮らしに戻るべきだ!と極論を言っているわけではありません。
大量消費の暮らしから賢い消費をする暮らしにシフトした方が良いということです。
物を買って解決することに頼り過ぎない方が、心豊かな暮らしに繋がりますからね^^

しかし、全く物がないのも不便すぎるので、
どうしても必要なものはたとえ高くても買った方が良いでしょうし、
工夫すればどうにかなる"便利"のためのものは、たとえ安くても買わなくてもよいでしょう。

バランスの問題です。

物が豊富になると、人は創意工夫することを忘れてしまったり、
刺激的な物ばかりを揃えると、感性が鈍ってきたりします。

インターネットが普及してきて、すぐに答えが得られるので、
考えることを放棄している人も多いのではないでしょうか?

食べすぎると太ってメタボリック症候群になりますが、
私達の生活は、それに似ていますね^^;

なぜ半農が必要か?

心豊かな生活を送るには、『半農』という考え方は
理想的だと思います。

必ずしも
「仕事時間の半分を農へ回す」
というわけではありません。

7割が仕事で3割が農でも良いのです。
まずは『農』に関わる、ということが大事だと思います。

僕と妻は、畑に行って山の土の香りをかぐたびに

「webデザイナーとか、システムエンジニアとか、
PCにかじりついている人ほど畑やった方が良いよね」

と話をします。
それは、妻が元デザイナーで、
僕が元エンジニアだったからですが、
そういう職業に限らず、オフィスワーカーも当てはまるでしょうし、
都会的な生活をしている人は皆当てはまると思っています。

その理由は、

  • 自然を通して感性が磨かれる。
  • 体を動かしたり、植物や土の香りを嗅ぎ、植物の成長・変化に触れることで
    心身共にリフレッシュされる。
  • 命の大切さを改めて再認識できる。

というのがあるからです。
頭ではわかるようなことかもしれませんが、
体験してみないと本当の意味はわからないと思います。

仕事始まる前、仕事終わり、または仕事の合間でも良いのですが、
どこかで自然と触れ合うと、思考が整理されて仕事の効率も良くなります^^

だから都会で生活している人ほど必要だと思うんですよね。

そして、それを更に進化させ、自分の好きなこと、才能を活かせることを仕事にして、
収入が少なくても無理をせずに生計を立てていく、というのが半農半Xという生き方です。
先ほどの"断捨離"と組み合わせれば、お金もかかりませんね^^

農業で生計を立てるとなると、仕事に無理が出てきて、
農薬や化学肥料を撒いたりしなければなりませんが、
『半農』なら、自給する分だけなので、無理をせずに済みます。

自給しているので最低限の食べる分はありますし、
引き算の暮らしの感覚を持っていれば、そんなにお金を使う必要もないでしょう。

仕事に支障がなければ、田舎に引っ越せば畑付きの広い家も安く借りられます。
都会では考えられませんが、1、2万で借りられることだってあるんですよ^^
もちろん、買い物には不便ですけどね^^;

「ないものねだり」ではなく「あるもの探し」へ

都会では、住むだけでお金が必要ですから、半農半Xな生き方をするのは難しいですね^^;
だからこそ、お金のかからない田舎で『半農半X』なんです。

金が第一主義の経済活性化では都市の豊かさしか見えず、 地域は『ないものねだり』をするしかないが、金以外の自然風土、生活文化、コミュニティ、金にあくせくしない生き方など、地域に多様にあるものの価値に目を向け、掘り下げれば、地域固有の豊かさが見えてくる。

田舎は「何もない」のではありません。
確かに人工的に作りだしたものは少ないかもしれませんが、
発想や価値観を変えれば、都会にはない良いものがたくさんあります。

エネルギー問題が世界的な話題になっていますが、
『生きる』ということや、『仕事をする』ということの意味、考え方を転換して、
人間のライフスタイルを変えるのも解決策の一つではないでしょうか?

半農半X はじめの一歩

価値観を転換する、ということはかなり難しいことです。
ましてや『生き方』の問題となると、簡単なことではありませんよね^^
何をしてよいのかわからなくなったら、まずは一歩踏み出してみると良いかもしれません。

僕もまだまだ途中段階なのですが、僕は畑を借りるということから始めました。
僕が借りたのはマイファームというレンタル農園。

お値段は年間6万円とやや高いのですが、
ここで借りるメリットは、自然農や有機農業を推奨しているということ。

それもそのはず、スローでたのしい有機農業コツの科学を書いていらっしゃる西村先生が顧問をしていて、
社長の西辻さんはその教え子ですからね^^

そして、西村から直接学べる場が京都で毎月ありましたので、結構良かったです。
西村先生の家にも行かせてもらって、不耕起で作物が育つ畑はこういうものだというのも見せてもらいました。
有機農業や自然農関係の知り合いもこちらで増えました♪

また、自然農は教えてもらえないかもしれませんが、
お近くの市民農園を借りるという方法もあります。
値段は農園によりますが、マイファームと比べてお値段がお手頃だと思います。

ただ、農薬を使うことに慣れている場合も多い(農園によります)ので、
自然に触れる、という意味ではちょっと遠いかもしれません^^;

あと、アースカラー半農半X道場というものもあります。
こちらは、もっと本格的に半農半Xを体験してみたい、という方向けですね^^

2011年春にスタートということですから、まさに始まったばかりのようです。
千葉県を中心に活動されているようで、色々なイベントや講座が催されているようで、面白そうですね^^

また、音楽家・芸術家の方にオススメなのは、淡路島にあるここから村です。

芸術に磨きをかけながら、農業も勉強できます。
また、ビジネススキルまで磨けてしまうという、素晴らしい場所です。
ここで学べば、半農半芸も夢ではないでしょう♪

このような場所やイベントを提供している所は、他にもたくさんあるはずです。
興味のある方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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コメント(2)

素敵なブログだと思います。私達はアメリカ人2人ですが、2015年までに全ての47都道府県での農業について書くことにしました。最近「半農―半x」という現象について書きました。私達のサイトは www.47japanesefarms.com です。もし時間があったら、是非見てください。ありがとうございます!


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