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夏の計画停電を回避する、化学工学会の3つの提言

2011年4月 5日

今、日本の電力の供給と消費のあり方について、
考えなければいけない時期にきています。

ここ最近は計画停電の回避が続いていますが、
これは、電力供給が回復したり、節電効果が出ているからだけではありません。
季節が春に近づき、段々と暖房の需要が減ってきているんですね。

しかし、前回の記事で紹介したように、
夏場は今以上の大きな電力需要がありますので、
このままだと冷房が必要な暑い時期に計画停電をしなければなりません。

前回記事:2011年夏、冬の電力需要は要注意

夏場は節電したとしても5500万キロワットの電力需要があるとされているのですが、
それに対して供給できる量は4500万キロワット。
今のように、節電すればなんとかしのげるレベルではありませんね。
今以上の節電と、それ以外の対策もしなければ、
計画だけでなく、停電が毎日のように実行されるでしょう。

しかし、エネルギーの研究者や技術者などの専門家8000人ほどでつくる学術団体である、「化学工学会」が、これを行えば夏の計画停電が避けられると、緊急提言をしています。

参考:大震災による東日本の電力不足に関する緊急提言

この計画は、できるだけ早くから行わなければなりません。

国の政策で行うことや、企業レベルで行うこと、
そして私達個人で行うレベルまで、様々な形で提言されています。

化学工学会が出した3つの提言

提言は大きくわけて以下の3つです。

  1. 電力供給力の増強
  2. 電力需要の削減
  3. 電力需要の時間的・空間的シフト

1に関しては、国の政策面がカギを握っている部分が多いのですが、
経済的に余力のある方は、太陽光発電タイナビや、エネファームなどを設置すると良いですね。

2については企業から各家庭レベルまで大きく貢献できます。
冷蔵庫やエアコン、照明の買い替え、電気ヒートポンプのガス化など、
今のうちに買い替えられるものは買い替えた方が良いでしょう。

夏場になると、商品が不足する可能性もありますからね^^;

3に関しては特にカギを握っているほど重要で、
主に国や企業レベルで決定することが多いですね。
サマータイムの導入や休日や夜勤への勤務シフトはどうなるのか注目です。

ただ、家庭でも出来ることはあります。
詳しくは後で説明しますが、ピーク時の電力消費を避けるということです。

電気は溜められない

上のような提言内容を、なぜ行わなければいけないのか?というと、
電気は溜められないからです。

現在の電力供給のしくみでは、実は作った電気をそのまま送っているんです。
全く溜められないわけではありません。
あまりがちな夜間電力を揚水発電で位置エネルギーとして蓄えていて、
ピーク時の電力量をカバーするために使っています。
発電量全体と比べればほんのわずか。

位置エネルギーとして蓄えるのは、言って見ればゼンマイ式のおもちゃのような感じです。
ゼンマイでおもちゃを動かせますが、同じように電池で動かすものに派及びませんよね^^

電気を溜めるのは実は難しいんです。

なので今節電していることは、今この瞬間停電しないように頑張っているということになります。

一日中節電モードになるのも大切なのですが、
過度にやりすぎると節電疲れを起こしたり、
日常生活に支障をきたしたりしてしまいます。

効率よく節電を行うには、電力需要がピークになる時間帯を節電するということです。
(ピーク時の電力を抑えることを"ピークカット"と呼びます。)
ピーク以外の時間帯の節電を頑張っていても、この時間に一気に使うと全てが水の泡になってしまいます。

もちろん、ピーク時以外は節電しなくて良いと言っているわけではありません。
不必要な電力は普段から使わない方が良いですので、
使っていない電化製品のコンセントを抜いたり、冷暖房の温度の調節をしたり、
省エネ製品への買い替えは大切です。
それによって、電力を無駄に使わない生活に徐々に慣れてきますし、
まだまだダメージを受けている発電所の負担を減らすことになりますからね。

夏の電力消費ピーク時は、冷房が特に必要になる、平日のお昼から夕方ごろです。
洗濯は朝からやったり、パソコンのディスプレイを省電力設定したり、
食事の時間をずらしたりして、電力使用時間をいかに平準化するかが大切です。

意識すべきはライフスタイルの変化

節電は、今だけ頑張れば良いものではありません。
計画停電は数年続くと言われています。

その理由は、発電設備が簡単に設置できるものではないということと、
原子力発電所の新設は今後難しいということがあるでしょう。

原子力発電のあり方については今、世界中で見直しが行われています。
新たに作ろうとしていたところでも建設にストップがかかっています。

また、日本では関東、東北だけでなく、九州電力でも夏場の計画停電を考えているようです。
その理由は、停止点検している玄海原発の原子炉の再開は、
福島第一原発の事故を受けて、難しいと考えているからです。

しかし、原発に替わる代替案は今のところ存在しないんですよね。

自然エネルギーは提供が不安定ですし、生み出す電力量も
原発とは比べ物になりません。
なので、今すぐとってかわるのは難しいです。
スマートグリッドの設置も時間とコストがかかります。

つまり、電力に頼らなくてもできるものはなるべく頼らないような生活に、
一人一人が考えて変化させないといけないでしょうね。
原発の建設や再開に反発しているのなら尚更ですね。

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