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「アースデイしが」で「ミツバチと羽音と地球の回転」を見ました。
2011年7月 4日
東日本大震災を機に作られた団体「あすのわ」が主催する、
アースデイしがに行ってきました。
このイベントは、エコがテーマ。
原発や日本のエネルギー事情をドキュメンタリー映画にした
「ミツバチの羽音と地球の回転」の上映会があったり、
環境に関する講演会やライブ、エコをテーマにした手作り市があり、
勉強しながらも楽しいイベントでした。
このイベントでは、滋賀県内の色々なお店が、お祭りの時のように出店を出していましたが、
商品を買っても袋はもらえません。
エコバッグは必須なのです。
そして飲食店の場合は、カップ、食器、お箸、スプーン、フォーク等、
食器類はすべて持参しなければならない(レンタルもあります)というエコイベントです^^
僕は、「ミツバチと羽音と地球の回転」を見るために行きました。
この映画は、現在のエネルギー利用方法をどのようにシフトさせるべきか?ということがテーマ。
日本のエネルギー問題について、非常に考えさせられる映画でした。
淡々と進行するので、途中で集中力が切れてしまうのがたまに傷ですが、
リアルなエネルギー事情を知るには良い映画です。
2009年に作られた映画で、原発への依存を強化しようとする日本と、
国民一人一人がエネルギーの自立に取り組むスウェーデンの違いが比較されていました。
原発建設現場の恐ろしい現実
「ミツバチの羽音と地球の回転」は、震災より前に作られた映画で、
福島の原発ではなく、中国電力が新しく建設しようとしている山口県上関町が舞台になっていましたが、
リアルな現場の実情を知ると、脱原発を進めていくべきと強く感じさせられます。
舞台となるのは、瀬戸内海にある「祝島」という島です。
祝島の多くの方は、漁業を生業としていて、
一本釣りで釣る天然の鯛は、高級料亭に好まれていますし、
祝い島独特の、手間暇かけて作ったひじきは、
香りが良くて滑らかで、非常に美味しいものです。
そして、島の人達の多くは、島の資源で生きていきたいというのが願いなんですね。
しかし、1980年代からここに原発を作るという話が持ち上がり、
祝島の人達は、一貫して反対し続けています。
30年以上も戦ってきているんですね。
映画の内容ではありませんが、ユーチューブでも中国電力と祝島の地元民の反対運動の様子がわかります。
2011年2月の動画です。
なぜこうなったのかというと、祝島の人達は一貫して反対しているにも関わらず、
山口県知事が原発の開発に合意したということで、工事を着手したわけです。
しかも、祝島の人達はこのことを何も聞かされていなかったそうですし、
今まで30年近く、一度も話し合いが持たれたことがないそうです。
工事は、反対されるのを避けるかのように、夜中の2時から着手して、
反対住民を排除するためにネットを張ったり、杭を打ったりして対策を打っているわけです。
中国電力は、600人規模で工事体制を整えているのですが、
中には大学生などのアルバイトもいて、何をするのかも知らされずに、
給料の高さだけで選んできている人もいたそうです。
そこでやらされたのは「人間の壁」。
反対する人が押し掛けるのを抑える役目です。
祝島の人達が必死に訴えかけるのを見て、涙を流す学生もいたそうです。
日本でこんな風に、権力をあからさまに行使しているのは考えられませんが、
これが現実なんですね。
お金で解決しようとする電力会社
「ミツバチと羽音と地球の回転」の監督の鎌仲ひとみさんによると、
原発を開発しようとするところでは、お金の力で、地域の団結力をで削ぐというやり方が
必ず起こっているそうです。
これが開発側の作戦なんです。
例えば祝島の場合には、何も聞かされずに
いきなり漁業組合の口座に5億4千万円の振込があったそうです。
「これで漁業権を放棄して下さい」
というわけですね。
祝島お漁業組合はすぐに返金したそうですが、祝島以外の7漁協は、それを受け取って合意したそうです。
つまり、他の地域はお金を貰うことで漁業権を放棄しており、祝島だけ反対しているという状況です。
他の地域からすると、漁業権を放棄したのだからお金を受け取るのが筋なのですが、
祝島も漁業権を放棄しなければ、原発の建設を進められないわけですから、
半額だけ支払われましたが、建設予定が上がった1980年代から、
残りのお金は払われていないんです。
そういうところから、漁協でも対立が始まり、
住民が二つに分断してしまったわけです。
地域住民をこのように分断させて国策を進めることは、日本だけではなく、欧米でも起こっているようです。
他にも、過疎化が進んでいる地域の中には、
町の活性化のために原発マネーと引き換えにする町がありますが、
生活のための苦渋の決断があったと思うので、避難されるべきではないと思います。
問題は、お金をちらつかせて誘惑している権力側の方ですよね。
有無も言わずに、いきなり口座に振り込んでいるのを考えると、
これは心理的な作戦であると言ってもおかしくないでしょう。
反対者はこのように経済力と権力で押しのけられていることが考えられます。
原発が置かれている地域は、原発マネーでレジャー施設やリゾートホテル等、
色々な物が建設されていますが、それを維持するためにはさらに原発マネーが必要になってきます。
そして、これがなくなっては生きていけないでしょう。
まるで麻薬のようですね^^;
スウェーデンでは、エネルギーの自給自足が出来ている村がある
原発はなくてはならないのか?という議論は、
学者レベルでも二つに分かれています。
しかし、スウェーデンでは持続可能なエネルギーで、
1980年に国民投票で脱原発を決めました。
日本は技術力はありますが、自然との向きあい方は、
日本よりもスウェーデンの方が数十年進んでいるんですね。
そして、原発も石油にも頼らない町も実際にあります。
日本とは事情が違うという意見もありますが、
スウェーデンよりも日本の方が3倍エネルギー源に恵まれていると言われていますし、
どのようにして導入すべきかは議論していくべきですよね。
まず、スウェーデンと日本の違いは、電力の自由化です。
日本では2005年あたりから少しずつ自由化が進められていますが、
現状は関東なら東京電力、関西なら関西電力、というように、
たった一つの電力会社からしか電力を買えないのが一般的です。
独占状態なんですね^^;
しかしスウェーデンでは、電力会社がたくさんあって、
市場が開放されています。
原発の電気、水力発電の電気、と選べるようになっているんです。
送電と配電網が社会の別に運営されていて、
配電網は社会インフラとして同じ料金を払いますが、
送電する電力会社は選べるわけです。
政治家や専門家の中には、
「電力を自由化することで、住民負担が増える」
と言う人もいますが、スウェーデンはそうはなっていません。
確かに、最初はインフラの整備などで高くなるかもしれませんが、
使う人が増えれば安くなるというビジョンをスウェーデン政府がしっかり示したので、
国民が納得し、実際長期的に見て、高くなっていないのです。
また、国策で、
「持続可能な社会に向けて、自然エネルギーを増やし、原発・石油のエネルギーを減らす」
ということを、国民的に合意を得ています。
なので、電力を送る場合は、原発や石油のエネルギーよりも、
自然エネルギーからの電力を優先的に送るという原則のもと、送電しています。
このような電力の自由化こそ、今日本に必要ではないでしょうか?
そうすれば、発電方法は企業が洗練させていくはずですし、
既存の電力会社の管理体制も改善されるはずです。
電力会社としても結果的にプラスになると思います。
実は中国電力は現在、原発の電力を使っていない
下関原発は本当に必要なのか?と思わせることがもう1つあります。
実は今(2011年7月現在)、中国地方では原発を使っていないんですね。
しかも、最近のことではありません。
2010年7月から原発を一切使っておらず、
昨年の猛暑も乗り切っているのです。
中国電力が現在所有している原発は、島根原発1ヶ所のみ。
しかし、1000か所以上の点検漏れがあって、
2010年7月に、原子力保安院から止められているんです。
なので、中国地方は今(2011年7月現在)、原発のエネルギーを使って生活しているわけではないのです。
しかも、2005年から契約電力50kwkW以上の高圧需要家までなら電力自由化されているので、
大きな工場は自家発電するようになり、電力は前年比で20%くらい減っているんです。
それなら、下関原発からの電力は誰が使うのでしょうか?
CO2を減らすことを名目にした利権がらみにも思えますが・・・
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