ベネチアを水没から救う!「モーゼ計画」とは?

2011年3月 6日


1987年に世界遺産に登録された、
水の都ベネチア。
街全体がアートのような島で、とてもきれいなんです。

最近は、深夜の便で羽田を出れば、朝のうちにベネチアまでつくらしいですね。

ベネチアでは陸を走る交通手段は禁止されていて、
走れるのは、子供用の自転車とベビーカーだけ。

全ての交通機関は船なんですね。

観光地としても有名なのですが、ここ十数年で
110cm以上の深刻な浸水が飛躍的に増えているそうです。
街の人は一日中水害対策に追われています。

3月6日に「ベネチアが危ない!〜水の都からの緊急メッセージ〜」という特別番組が放送されていたのですが、ベネチアは今、冬を迎えるたびに水位が上昇しており、ベネチアは100年のうちに海の中に沈んでしまうとも言われています。

アクアアルタの脅威

シロッコ風

"アクアアルタ"というのは、ベネチアの人々がいつも悩まされている高潮のことです。

ベネチアはイタリアの北部に位置するのですが、
そこに北アフリカからの季節風「シロッコ」が吹きつけられるんです。
その風が行き止まるところがベネチアなんですね。
右の図の矢印がシロッコ、矢印の先にベネチアがあります。

そのため、シロッコが吹くと、波がベネチアに押し寄せるわけです。
その時に発生する高潮が"アクアアルタ"と呼んでいるんですね。

ベネチアでは、「アクアアルタ監視予報センター」というものが設置されており、
ヨーロッパの気象観測をしたり、ベネチア全体の状況を監視したりして、
警報や潮位を知らせる音を発生させたりします。
音で水位を知るわけです。

ベネチアの街は、一見穏やかに見えて平和そのものなのですが、
毎年この、アクアアルタに悩まされているんです。

2008年のアクアアルタでは、
街の70%が水没し、全ての交通機関が止まってしまったんだそうです。
商売どころではありませんよね^^;

下の二つの写真は同じ場所なんです。

ベネチアの街 ベネチアの街2

右の写真は、完全に道と水位が同じになっていますね。
ベネチアでお店をやっている人が言うには、

「2008年もすごかったけど、2010年はもっとすごかったよ!」

と言っていたんですね!
お店は50回も閉めたんだそうです。

地下水の組み上げも地盤沈下の要因に

ベネチアを脅威にさらしているのは、
地球温暖化だけではありません。

ベネチアの対岸にはマルゲーラという工業地帯があり、
そこでは地下水の汲み上げが行われています。
帯水槽が抜けてしまうために地盤をもろくし、地盤沈下の原因になっています。

その影響に危機が叫ばれるようになってから、
1970年に地下水の汲上げを禁止する特別法令が出されています。

それからは工場も縮小されてきており、さらなる悪化は免れましたが、
その影響もあったためか、ベネチアの海の上にある建物は少しずつ地盤沈下してきています。
こんな状況で大きなアクアアルタが来たら、
島自体から脱出しないといけなくなるかもしれない状況なんですね。

ベネチアを救う、モーゼ計画

モーゼ計画

ベネチアでは、この危機を救うために、「モーゼ計画」というものを進めています。
これは、ベネチアの水路3か所に可動式のゲートを78基、
述べ約1.5mとなる水門を設置しようという巨大プロジェクトです。

仕組みは、ゲートでの到達予測水位が110cm以上を超えると
フラップゲートに急速に空気を注入し、ゲート内の海水が押し出すことで浮力でゲートを立ち上がらせようというものです。
立ち上げには30分かかります。

そして、高潮が収まると空気を抜いて、元の位置に戻ります。

これで最大2mの高さまで防ぐことができるようです。

なぜ開閉制にしたのか?というと、
普段の環境はなるべく変えないようにすることで、
ベネチア近辺の生態系を守るためなんだそうです。

高潮の時だけ被害を防ごうということですね。

フラップゲートは3年後の2014年に完成するそうです。

今後も注目ですね。

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