幸せの国ブータンと日本の共通する点
2011年11月22日
以前にもブータンのことを書きましたが、11月20日までブータンのワンチュク国王夫妻が来日していましたね^^
国王の来日は、連日ニュースになっていましたし、素晴らしい演説や、
自国から僧侶を連れてお祈り、福島を訪問して相馬市民や子供達との交流など、
慈悲深い行動そして温かい言葉に感動したものです^^
17日の国会での演説の動画です(13分16秒)。
そして、テレビ朝日の「報道ステーション」で見たのですが、
相馬市の子供達にこんなことを言っていました。
「みなさん、竜を見たことがありますか?
私は見たことがあります。
私達一人一人の中に人格という竜が存在するのです。
竜は経験を食べて大きくなっていくのです。
みなさん、心の中にいる竜を鍛錬して強く大切に育てて下さい。」
特に被災された方は、他人がしていない、もの凄い経験をしているので、
竜が大きくなる可能性があるわけです。
興味深いことを聞いたなあと思ったのですが、被災地の人達にはもっと心に届いたでしょうね。
ワンチュク国王は、
「日本人とブータン人は説明のつかない何か共通的なものを持っている」
と言っていましたが、確かにありますね^^
そもそもブータンの人達はどういう価値観を持っているのか?というと、
例えばこんな感じです。
ブータンでは、どんな生物の命も大切にする
ブータンでは、どんな生物の命も大切にするそうです。
そう言うと、日本をはじめ、先進国なら大切にしていそうな気もしますが、
よくよく考えると人間都合で考えていることが多く、偽善的ですよね^^;
ブータンではどうなのか?というと、おそらくチベット仏教的からくる思想だと思いますが、
こんな価値観を持っているようです。
ハエ1匹殺生しない
例えば、お茶の中にハエが入る、ということがたまにありますよね^^;
日本人だと、それをお茶ごと捨てると思います。
ハエに対してもよく思いませんよね^^;
でもブータンの人は、お茶に溺れたハエを「助けなきゃ!」と思うそうです。
虫とはいえど、必要のない殺生はしないというのが大前提にあるようです。
ブータンには花束は存在しない
ブータンには、花束や生け花は存在しません。
「生け花」という字からわかるように、花といえど、咲いている間は生きているわけですね。
生きているものを切ってくるという概念はないので、生きた花も切れません。
鉢植えの花をプレゼントすることはあるそうです^^
ブータンに野良犬はいない
ブータンは山が多い国です。
当然、野生の犬はいると思うのですが、それを野良犬扱いはしないんだそうです。
皆で世話をするものと考えているので、地域や皆で餌をあげます。
"ペット"という概念とは違います。
生き物は共に助け合って、一緒に生きている、という感覚ですね。
鶴のために電気を我慢する
これは有名な話ですが、ある村に電気を通そうと、
電柱を建てたり送電線を引いたりする計画が上がったのですが、
この地域は、越冬のために鶴が来る地域。
なので、電線があると邪魔になるんですね。
その村の住民は、鶴が来なくなるんじゃないかと心配し、
邪魔になるんなら、不便でも良いじゃないか!と、
電気を通すのを我慢したんだそうです。
今は地中を通して電気が通るようになったのですが、
不便でも価値観を大切にするのが凄いですね。
子供は皆で育てる
子供を地域で育てる、というのは、日本でも昔は普通だった光景ですが、
近代化、核家族化が進んだ今、あまり見られなくなりました。
集落の結束が強い地域に行くとまだ健在ですが、
ほとんどの所で地域の繋がりが気薄になってきているのはさびしい限りですよね^^;
不必要なほどの近代化を望まないブータンは、地域の繋がりを大切にしています。
例えば、雨の日に子供が学校に登校しているのを、車に乗っている大人が見かけたら、
知らない子でも学校まで乗せていってくれるんだそうです。
これは、治安が良いことはもちろん、みんなが信頼し合えないとできないことですね。
ブータンと日本の共通点
そんな風に、日本とブータンは全く価値観が違うような国ですが、
共通する部分があります。
それは、助け合いの心です。
大震災の時に被災地の人達が見せてくれた共助の精神は、
日本では古くから大切にしてきたものです。
今でこそ忘れかけているように見えますが、震災の時には素晴らしく発揮してくれました。
アイデンティティとして残っているんですね。
こういう助け合いの精神に世界中が驚くのは、
今まで災害に見舞われた地域では、強奪だったり、奪い合いが起こってきたからです。
不幸に見舞われた人達が助け合える、という例は極めて珍しく、
人間はそんな風に助け合えるんだと、世界中で評価されたわけですね。
それだけ日本人は、先進国に住んでいながらも、ブータンの人達に近い気質、
つまりは"幸せ気質"を持っているということです。
当然ながらこういう行動は、GDPにはカウントされません。
多くの国が重要視している経済成長、つまりはGDPが高いということが、
必ずしも幸福になるとは限らないことがわかりますね^^
ただ、勘違いして欲しくないのは、お金は無くても良い、ということではありません。
お金はあった方ができることの幅が広がります。
でも、お金を追求するあまり、それ自体が目的になってはいけないんですね^^;
助け合い、親切心、繋がり、規律を大事にする、
そういうことが優先されるのが当たり前になった時に、
本当の意味で豊かな国になるのではないかと思います^^
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