どこでも利用できる!天候に左右されない地中熱エネルギーとは?
2012年6月 9日
WBSで紹介されていましたが、今、天候に左右されずにどこでも利用できる普遍的な自然エネルギーとして「地中熱」を利用したシステムの普及が急速に広がってきているようです。
東京スカイツリーでも地中熱を使った冷暖房システムが使われていますし、セブンイレブンの店舗でも次々に導入、更には一般住宅にも普及してきているんですね。
今までは、自然エネルギーの導入というと「太陽光」がまず先に考えられてきましたが、これからはこの「地中熱エネルギー」が導入しやすくなったので、太陽光と合わせての利用シーンが考えられるようになります^^
地中熱エネルギーの仕組み
「地中熱」は、「地熱エネルギー」とは全くの別物です。
地熱エネルギーは、火山や温泉の近くに等で、地球の内部にある熱エネルギーを使います。
なので地理的な制約があるのでどこででも得られるエネルギーではありません。
(地熱発電のしくみはこちらに書きました⇒日本で地熱発電が進まない3つの理由)
それに対して地中熱は、地中と地上の温度差を利用します。
地中の温度は年間約15℃とほぼ一定ですので、夏に地中に入れば涼しく、冬に入れば暖かく感じるわけですね。
地中熱は実は昔からよく使われてきました。
地中の空間を使って野菜を保存する室(むろ)は縄文時代から使われている生活の知恵です。
夏に井戸水を汲みあげると、非常に冷たい水に触ることができますが、それも地中が地上に比べて温度が低くなっているからです。
この性質を利用して、水や外気などを一旦地中を介してから得ることができれば、冬は採熱して外気を温め、夏は熱い外気を放熱させて、空調に利用するわけです。
まさにエアコンのしくみと同じですので、"自然のエアコン"と言えますね^^
エアコンの仕組みについてはこちらに書きました⇒エアコンの待機電力節電で気をつけること
地中熱を使えば、通常のエアコンのように直接外気を使うより、冷暖房の効率が上がります。
ヒートアイランド現象も緩和します。
地中熱による空調システムを使っている東京スカイツリーでは、使わない場合に比べて年間 電力・ガス使用量が半分に減らせる計算なんだそうです。
日本ではなぜ地中熱の利用が普及しなかったのか?
実は地中熱システムを利用することは、新しいものではありません。
世界では既に取り入れている国はたくさんあります。
一番取り入れている国はアメリカで、その数100万台以上。
日本は後れているので、認知度が低かったですね^^
どこでも利用できる素晴らしいエネルギーなのになぜ普及が後れたのか?というと、それはコスト面の問題です。
地中熱を効率よく利用するには
ランニングコストは安いのですが、初期費用が高いんですね。
一般的に、安定した地中熱を利用するには約100mの穴を掘削する必要があります。
ほんのちょっと掘るだけでは、効率的なエネルギーは得られません。
ちなみに東京スカイツリーでは、総延長12kmの水滞留チューブが地下に埋められていて、そこに水が溜められています。
諸外国と比べて日本での掘削が高くなる理由は、日本の地盤が多様で崩れやすいからです。
しかし、技術の進歩や、政府が導入のための補助金を出すようになったこともあって、普及が急速に進んできています。
一般住宅にも地中熱利用換気システムが普及し始めている
地中熱の利用は、一般住宅にも広がってきています。
床下に設置した機械から外気を取り込んで地中を通し、戻った空気を床や天井から送風する換気システムを販売しているのが、株式会社ジオパワーシステムです。
「地熱の家」として売り出しています。
外気⇒地中熱で冷やす(温める)⇒室内に送風
という仕組みで、既に導入している家ではたとえ真夏でもほとんどエアコンを使わずにすんだという方もいらっしゃいます。
上の写真は、床下から風が吹いている写真なのですが、このように換気するだけで室内の温度が下がるんです。
このしくみだけでも一般的な家庭では空調にかかる電気料金が半減しちゃうんですね。
そして先ほど掘削で深く掘らなければならないのでコストがかかるといいましたが、ジオパワーシステムでは、床下に石を敷き蓄熱することでたった5mの深さでも熱を利用することを可能にしています。
空気は熱に左右されやすいのですが、熱を溜める性質のある"石"に地中熱を蓄えるようにすることで、5mの深さでも地中熱を利用できるようにしたんです。
大幅なコストダウンになりますね^^
最近は問い合わせや導入する方が増えてきたので、さらにコストが下がってきているようです。
このシステムを導入するには、新築やリフォームのタイミングがないとなかなかできませんが、大規模な工事を必要としないものもあります。
それが、2012年6月下旬にコロナから発売を開始する「GeoSISエアコン」。
住宅用地中熱ヒートポンプエアコンです。
室内機は普通のエアコンと同じなので、見た目は普通のエアコンです。
取り付けは通常のエアコンと同じですね。
しかし掘削工事を行って地中熱を利用するのは業界初です。
水を地中熱で冷やして冷たい風を効率よく作り、消費電力3分の1に削減します。
価格は57万7,500円。
さらに掘削費用も必要で約100万円かかります。
政府から補助金がつくかもしれません。
今後、量産が進めば安くなっていくでしょうね。
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