日本で地熱発電が進まない3つの理由

2012年3月13日

2012年2月14日に、環境省が地熱発電所の設置要件を緩和しました。
国立・国定公園の外から斜め掘りをして地熱を利用することを認める通知を出したんです。

日本は資源の少ない国と認識されていますが、
実はアメリカ、インドネシアに次ぐ地熱資源量 世界第3位というポテンシャルがあります。
それなのに地熱発電の設備容量は世界8位
日本の総電力量の0.3%しか賄っていません。

あくまで理論的な計算ですが、仮に日本の地熱資源をフルに使えたとしたらその年間発電量は3300万kwに達するそうで、東京電力の原子力発電の総量を上回るんです。
(資源量は調査でさらに増える可能性もあります)

しかし今のところ約53万KWしか使っていないのが現状です。
そして、1999年の八丈島地熱発電所が運転開始したのを最後に新設されていないんですね^^

非常に勿体ない状況が続いていたのですが、ここにきてようやく動きが見えてきました。

地熱発電のしくみ

地熱発電はどういうものか?というのをおさらいしてみると、こんな感じです。

火山地帯にはマグマがあり、マグマによってその付近の地下水やしみ込んだ雨水は熱せられます。
それによって火山地帯付近では、非常に高温になった水が地下に溜まっているんです。
しかもその高温の水は、地下深いところで高圧で抑えつけられているので、気体にならずに液体のままなんですね。

ここに穴をあけると、それが一気に噴き出してきます。
それをそのままタービンに当てれば発電ができるわけです。

発電に利用した熱水はそのまま地下に返されるので、資源として再利用することができます。
これが地熱発電のしくみです。

天候に左右されずに安定したエネルギーが得られますし、CO2も出さない、優れた自然エネルギーです^^

なぜ日本では地熱発電が普及しないのか?

日本は地熱発電の資源をたくさん持っていることは冒頭で述べましたが、実は地熱発電の技術大国でもあります。

世界の地熱発電所のタービンの7割が日本製で、その技術は国内よりも海外で多く使われています。
エネルギーの26%を地熱で賄っている地熱先進国アイスランドも日本の技術が支えています。
他国では信頼されて使われているのに実に勿体ない話ですよね^^;

技術的には問題ないのに、なぜ日本では普及が進まないのか?
理由は3つあります。

  1. 国立公園の開発規制がある
  2. 初期費用が高い
  3. 温泉街から反対される

の3つです。
この3つの理由は、今に始まった話ではありませんけどね^^;

冒頭の環境省の規制緩和の話は、1番目に関係しています。

国立公園内では環境保護や景観の維持のため、発電所を置かないようにしているのですが、火山があるところは国立公園になっていることがほとんどです。
そのため、1974年に「地熱発電所の新規計画は原則認めない」という方針を示しており(原子力村の圧力も考えられますが^^;)、1994年にはそれが緩和され「規制の緩い地域に関しては個別で判断して認める」という方針となっていました。

それが今回さらに「国立公園で直接掘ってはいけないものの、公園外から斜めに掘るならOK」という方針に見直したわけですね^^
(国立・国定公園の中でも、第1種特別地域に指定されているところは引き続きNGのままです)

斜め掘りは技術的には可能ですので、これによって資源を活用する幅が広がりました。

ただし、それでもまだ2、3の問題が残っています。

2のコスト面に関しては、発電所が出来て、運営段階までいけばその後は無尽蔵に電力が得られるので、コストは自然エネルギーの中でも安い方になります。
しかし、地熱エネルギーを得るにはまず井戸を掘ってみないといけないわけで、井戸を掘るのは非常にお金がかかるんですね。
1本掘るのに数億円、1ヶ所の発電所で10~20本掘る必要があるので、それだけ初期費用がかかります。

そもそも、新エネルギー等の普及を図るために作られた、RPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)というものがあり、2003年4月より施行されました。

これは、電気事業者に新エネルギー等から発電される電気を一定割合以上利用することを義務づけた法律で、義務量を下回ると100万円以下の罰金となるのですが、それが地熱発電の普及にはうまく機能していないんですね^^;

地熱発電も新エネルギーの対象として含まれているのですが、どういうわけか、地熱発電の主力技術である「蒸気フラッシュ発電」は、RPS法の対象外なんだそうです。

「熱水を著しく減少させないもの」という条件に引っかかるためとされているようですが、その基準はあいまいなんですよね^^;
その辺は明確化して、普及を促すような後押しするような政策が必要ですね。

追記:2012年7月1日、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」の施行に伴い、対象を再生可能エネルギー全体に拡大、全量買い取りが義務化され、RPS法は廃止されました。

次に3の温泉の問題です。

地熱発電で使った熱水はなくなるわけではありません。
循環させた後元に戻して再利用するのです。
むしろ、発電に使った熱水を温泉水として使うこともできるのです。
発電所からのお湯を温泉として足すことで助かっている温泉街も実際あるんですね^^

なので、基本的には「温泉か、発電か」と競合するものではなく、共存することができる関係のはずなんです。

しかし問題は、地熱発電も温泉も、地下の熱水を使っているとは言っても、掘っている深さが違うということ。
場所が変われば条件も変わります。
温泉に影響はないことの方が多いのですが、"もしも"ということがありますので、温泉水が枯渇しないという保証がなければ温泉街は反対するわけです。

なので、温泉街の方が納得いくような技術や説明が必要なのかもしれません。


地熱発電は地方での発電ということになるので、東京までその電力を持っていくのはコスト的に厳しいですが、エネルギーを地産地消できるというのは大きいです。
地方の電力を賄えるようになるだけでも原発や情勢に左右される外国の資源への依存度は下がりますからね。

政府は、2050年頃に日本全体の電力の10%を地熱で賄うのを目標としています。
この数字は小さそうに見えますが、今は1つのエネルギー源に頼るのではなく、分散することも大切だと思います。
もし天変地異や災害があった時に、1つのエネルギーに頼っていると、使えなくなってからでは困りますしね^^;

他にも発展段階のエネルギー技術はありますから、そう考えると、10%という目標もまずまずではないでしょうか?

このエントリーを含むはてなブックマーク Buzzurlにブックマーク livedoorクリップ Yahoo!ブックマークに登録

コメント(2)

著者の方のおっしゃる通りですね。
「原子力村からの圧力かも。。。」との指摘にもなるほどなぁと共感した次第です。
温泉地に発電所。
これこそ、近未来の日本人の保養、リゾートのあり方ではないでしょうか。
日本の多くの温泉街が、地産地消の精神で自分たちの設備は100%自然エネルギーだ、と率先して動いてくれればいいのですがね。(もちろん温泉組合など自主的な主体者として発電する)
新しい町おこし、地域再生につながると思います。
国立公園にこそ環境に配慮した「自然エネルギー」で地産地消。
少なくとも公園内の設備は地熱エネルギーで賄う、という姿勢で国の政策も転換してもらいたいものです。


コメントする




« 関西で巨大地震が発生した場合、津波被害はこれくらい想定されている | ホーム | ゴミ発電の可能性 »

このページの先頭へ