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半永久的に電気が作れる!日本の最新技術 海洋温度差発電

2013年7月 8日

海洋温度差発電 久米島

2013年7月7日の「夢の扉+」で、海洋温度差発電(OTEC)の第一人者、佐賀大学準教授の池上康之先生が取り上げられていました。

海洋温度差発電は、年間を通して冷たい深海の海水(深層水)と、太陽熱で暖められた海面近くの暖かい海水(表層水)の温度差を利用して発電するというもの。

右の写真が沖縄の久米島にある海洋温度差発電のプラントですが、2013年4月、沖縄県海洋深層水研究所が1年間24時間運転の実証実験が開始しました。

この発電が凄いのは化石燃料やウランを使わず、24時間安定して半永久的に電気を作るということ!
原発の危ない部分を排除し、良い部分だけを残した感じですね^^
天候にも左右されません。

今は最大出力50キロワットの小規模なプラントでの実験段階ですが、そのポテンシャルは、日本の海域だけで原発25基分もあるそうです。

海洋温度差発電のしくみ

海洋温度差発電は、深層水と表層水の年間平均温度差が20℃ほどあるところで行える発電です。

海洋温度差発電 しくみ
(画像:夢の扉+より)

該当するのは熱帯や亜熱帯、赤道近くの場所です。

海水 年平均温度差
(出典:佐賀大学海洋エネルギー研究センターより)

日本では、沖縄、鹿児島、小笠原諸島などが適しています。
今実験を行っている久米島は、那覇市から西に約100キロメートルの位置にあって、条件が整う場所です。

海洋温度差発電では、電力を生み出すために、低温で沸騰する液体フロンを使います。
これが気化と液化を繰り返し、タービンに当てて発電するための媒体になります。

海洋温度差発電 しくみ
(画像:夢の扉+より)

この液体を発電装置の中の蒸発器(画像左側)という器に入れ、蒸発器の周りに、汲み上げた暖かい表層水を循環させます。
すると、液体フロンはすぐに蒸発するので、その蒸気でタービンを回して発電、タービンを出た蒸気は凝縮器(画像右側)という器に移ります。
凝縮器の周りに冷たい深層水を循環させると、蒸気が冷やされて液体フロンに戻り、再び蒸発器に移します。

このようにして繰り返すことで、海から半永久的に電気を生み出します。

ちなみに、海洋深層水は、狭い湾など閉鎖性の海域でない限り、1日数千トン単位で取水しても環境への悪影響はないと、海洋学者の研究結果が出ています。
なので、環境の変化の心配もありませんね^^

海洋温度差発電は、海水に限らず、水の温度差があればどこにでも適用できます。
工場排水や温泉水、船舶排熱と、海水や河川水を利用すれば、南国の島々だけでなく、本州でもできます。
可能性がまだまだ広がる発電技術です。

排出された海洋深層水は、飲料水としても使える

海洋温度差発電は、発電以外にもう1つ副産物を生みます。
それは、飲料水

発電と組み合わせて利用できる海水淡水化装置があるのですが、これを利用して真水を生産します。
海水淡水化装置では、発電に使用した温かい表層水を低圧下で蒸発させ、温度の低い深層水で冷却、淡水化します。
これで純度の高い真水が得られるんです。

この技術があれば、電気も水も不足している小さな島々などでは一石二鳥!
番組では久米島のプラントの起動実験に見学に来ていたジャマイカの人が涙を流して喜んでいました^^

海洋温度差発電は、このような使い方以外にも多目的に利用できます。
ミネラル豊富な海洋深層水を大量に汲み上げているので、それを利用して魚の養殖に利用したり、またはレアメタルを回収したりすることも可能です。

そのような応用技術にも注目が集まっています。


海洋温度差発電の歴史は実は古く、1881 年にはフランスで原理が考案されていました。
日本での開発も40年以上前から始まっていたのですが、技術的に難しく、なかなか実用化に至りませんでした。
オイルショックの頃、新エネルギーとして脚光を浴びていたのですが、原油価格が下がると見向きもされなくなっていたのです。

そんな中、研究を続けてきたのが佐賀大学の学長だった上原春男教授。
今は池上康之先生に受け継がれ、経済性を満足させられるほどのポテンシャルにまで進歩しています。

池上先生は、

出来ない人は出来ない理由を探す。
出来る人は出来る理由を探す。

とおっしゃっていましたが、この言葉、突き刺さりますね^^

残念ながら日本ではまだ海洋温度差発電の導入目標は掲げられておりません。
実用化には1MW 以上の実証試験が不可欠であるとされているので、久米島の実験が成功するように願いたいですね。

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