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原発再稼働の前に、核のゴミはどうするの?
2013年3月 1日
"脱原発"か"原発推進"かという議論は、福島第一原発と同じような事故にならないかどうか、原発施設自体の安全面からの議論になることが多いと思います。
では、仮に安全性が格段に上がったとして、どんな地震にも耐えられることが証明されたとしたら、それで再開しても良いのでしょうか?
原子力規制委員会は、原発の安全性を審査する新しい基準を作り、電力会社は再稼働に向けて申請したりしていますが、僕は、安全面だけが確認できれば良いとは思っていません。
核のゴミをどうするのかが決まっていないのが一番の問題だと思っています。
原発を使い続けると核のゴミが増え続けるのですが、日本では、核のゴミをどう扱うのか、それがフラついている状態なんです^^;
この辺、目新しい話ではないのですが、まだまだ知らない人も多いと思うので、核のゴミって何なのか、説明します。
核のゴミとは?
原発事故当時、水を放水する様子がよくテレビで放送されていましたが、そこにあったのは使用済み核燃料。
プルトニウムなどの放射線量の強い物質が含まれていて、原子炉から取り出された後も数年間は、熱を出し続けます。
なので、建屋の中の貯蔵プールで冷やすことになっているんです。
しかし震災当時、電源が失われて冷却水が送れなくなりました。
なので放水して冷やしていたんですね。
冷却が遅れれば、原子炉だけでなく、使用済み核燃料でもメルトダウンの恐れがあります。
原子炉のように格納容器に守られていないので、政府の最悪のシナリオでは、そのまま放射線が大量放出されれば住民の移住が必要な汚染は半径250kmにも及ぶ(盛岡から横浜まで)と、考えられていたんです。
実際には、水位がさがって大変な状況もありましたが、懸命な放水作業でなんとかそこまでの大被害にはなりませんでした。
そのような使用済み核燃料、原発を使い続けていれば増えるのですが、それはどうするのか?というと、原発が動き出した当初の計画では、再処理をしてリサイクルするつもりだったんです。
計画ではこんな感じでした。
使用済み核燃料の再利用計画
まずは、使用済み核燃料はそのままではリサイクルできませんので、まずは再処理工場に送られ、
- 資源・・・再利用できるもの
- 核のゴミ・・・再利用できないもの
に分けます。
そこから廃液を取り除いて、使える状態になった資源は、高速増殖炉で利用します。
一方、取り除いた廃液は、わずかの量で死にいたる強い放射線を放出するので、ガラスと混ぜて固めます。
そうやってできた核のゴミは、放射能が問題なくなるまで数万年かかるので、地上に影響が及ばないように、地下300mより深く埋める最終処分場に運ばれます。
最終処分場の広さは、およそ10万平方km(東京ドーム214個分)必要です。
これで2020年頃までに出る核のゴミ、四万本を埋める計画でした。
(ちなみに2013年現在、全国の原発等に貯蔵される使用済み核燃料は1万7千トンあります。)
利用したものは再び再処理工場で再処理して、また使うことができるので、資源の少ない日本でリサイクルし続けられる究極のエネルギーと考えられていたんです。
なので日本では、使用済み核燃料は、ゴミではなく資源だと考えられているんです。
でもこの計画が問題だらけなんです。
実は再利用の方法も最終処分場も見つかっていない
再処理工場がある場所として知られているところに、青森県の六ヶ所村があります。
ここには今も、全国から使用済み核燃料が集められています。
そして資源と核のゴミに分けるのですが、分けたからといって、資源の使い方も、最終処分場の場所もまだ決まっていないんです。
まず、「資源」の扱い方の問題。
こちらは"もんじゅ"のような高速増殖炉で使う予定でしたが、もんじゅでは1995年に試運転中、ナトリウム漏えい事故がありました。
そしてそれから14年以上も停止して再稼働したかと思ったら、また事故が起こったんですね^^;
そんな状況ですので、実現化には程遠いです。
もし仮に、福島第一原発のような事故になったら、水をかけることはできません。
なぜなら、ナトリウムは水に触れると爆発してしまうんですね。
そして次は、「最終処分場」の問題。
こちらは全国の自治体から公募という形をとっているのですが、1件も申請がありません。
最初の調査をしてもらうだけでも20億円もの交付金が貰えるということで受け入れを検討をした地域はありましたが、住民が反対したり、事故を見て検討を止めたりなどで、実際に申請するには至っていないんです。
なので、行き場を失った大量の使用済み核燃料は、各地の原発に止め置かれるという事態になっていますし、六ヶ所村もそもそも最終処分場ではありませんから、今まで送られたものがたまっています。
そして最後に「再処理の技術」の問題。
実は、再処理工場の技術もまだ未熟なんです。
2008年にガラス固化溶融炉で固化する段階で、炉底に白金族元素が堆積して目詰まりを起こしてしまいました。
つまり、高レベル廃液があるのに固化することができずにそこにある状態。
危険ですね^^;
そしてそれは、いまだに技術が確立されていません。
せっかくの資源も、このままでは核のゴミと一緒です。
今のままでの再稼働は、こういう危ないゴミが増え続けるということです。
このような状況での再稼働は推奨できませんね。
六ヶ所村に関しては、こちらにも分かりやすく書いています。
⇒とめよう!六ヶ所再処理工場 | 原子力資料情報室(CNIC)
原発を止めたところで、代わりになる代替エネルギーを探すのは困難です。
今、自然エネルギーがどんどん増やしていますが、必要量にはまだまだ及びません。
ではどうするか?
僕は、火力発電を最新のものにどんどん変えていくことも大事だと思っています。
今使っている火力発電は古いものが多いですが、最新の火力発電はかなり効率がよくなっているので、とりあえずは原発分も賄えるのではないでしょうか^^
シェールガスやロシアからも天然ガスを大量輸入できるチャンスも広がっていますしね。
ただ実際には、政府が原発を再稼働しようとする理由は、単にエネルギー政策のことだけでなく、利権がからんでいたり色々あるのだとは思いますが^^;
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